二次障害に傷つく子どもたち
学習障害の子どもの周囲には読み書きができないことばかりをピックアップし、その原因を知ろうとしない人が多いため、「やる気がない」「できない子どもだ」とレッテルを貼られることも少なくありません。そのレッテルによって子どもの心は傷つき、二次的な障害が起きてしまいます。
二次障害とは
学習障害そのものの特性とは別に、周囲の無理解や偏見から起きる障害のことをいいます。学習障害は読み書きや計算に遅れが生じて気づくことが多いため、小学校に入学した後に疑われるケースがほとんどです。そのため、病院には低学年の子どもが多く訪れていますが、病院を受診する子どもの年齢のピークはもうひとつあります。それは小学校高学年から中学校にかけて、いわゆる思春期と呼ばれる時期です。
そのくらいの年齢になると周囲の言動をよく理解しています。何気ない一言や理解してもらえない環境に心が傷ついて強い劣等感や反抗心が生まれ、不登校や引きこもり、過食や自傷行為、非行や家庭内暴力などを引き起こす子どももいます。中には家庭や学校では対応できず入院治療が必要なケースもあります。
二次障害は複数ある
学習障害をはじめとした発達障害の二次障害はひとつではありません。複数あります。ぼんやりして集中力に欠けるタイプは、不登校や登校拒否になるケースが多いです。ささいな理由で学校を休みはじめ、短期間で重症化します。自宅にいる時間が長いため昼夜が逆転しやすく、退行や無気力、家庭内暴力、インターネット依存などの問題につながることが多いようです。また、機能性頭痛や神経性嘔吐症、過呼吸症候群、心因性発熱などさまざまな心身症や自律神経症状、うつ病などになる場合もあります。
一方、衝動性の強いタイプは非行に走ったり、いじめや校内暴力、家庭内暴力など攻撃的な行動に出ることが多いです。
入院して治療する場合もある
家庭や学校で対処できない場合は、医療施設に入院して薬物療法や精神療法などを行います。医師や看護師、臨床心理士、精神保健福祉士、作業療法士などが協力して治療にあたりますが、医療スタッフに求められる役割と基本視線は職種に関係なく同一です。「子どもと保護者の両方の立場に立ち子どもの伴走者となる」「子どもが向けてくる感情を受け止める」「遊び心を持つ」「子どもたちのモデルとして存在する」などを念頭に置いて接していくことが大切です。
医療スタッフの中でも中心的な役割を担っているのは、一番近い距離で接する看護師です。そのため、看護師は最適な対応ができるように子ども1人ひとりをよく観察し、どのようなタイプなのか把握しておかなければなりません。
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